(佐藤)みなさん、腱鞘炎(けんしょうえん)という病名は聞いたことがあるのではないでしょうか?指や手首を動かす動力源はもちろん筋肉ですが、この力を伝えるロープのようなものが腱です。指を伸ばして手の甲を眺めてみて下さい。細長い紐みたいなものが見えますね。表面からは見えませんが、手のひら側にも走っています。腱は関節近くの骨にくっついて、関節を曲げたり伸ばしたりします。このロープが浮き出ないように滑車の役割をする組織が腱鞘です。代表的な腱鞘炎を二つ紹介します。 | |
@ばね指![]() 手のひら側の指の付け根が痛い!指を曲げる腱の腱鞘炎です。特に朝方指が曲がったまま伸ばせなくなる。伸ばそうとすると急に抵抗が取れてピン!とばねみたいに指が伸びます。ひどくなると日中もこの症状が出てきます。指の使い過ぎが原因ですが、患者さんの中には特に覚えがない方も多いようです。妊娠前後期やメタボリック症候群、糖尿病の方は腱の周りが腫れやすくなるので特に注意が必要です。発症して日が浅ければ腱鞘内にステロイドの注射をすると治る可能性があります。ずっと我慢していると指がまっすぐ伸びなくなってきます。こうなると手術の適応です。腱鞘を切開すれば確実に症状はなくなります。外来手術で10分程度です。手術は嫌!でも何度もステロイドを注射すると腱が傷んでしまいますから2〜3回にしておくべきです。なり始めの頃はお風呂に入った時などにゆっくり指を伸ばすストレッチをしてみて下さい。 |
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@ケルバン腱鞘炎![]() 親指側の手首の外側にも腱鞘があり、こちらの腱鞘炎です。親指を動かす腱が通っています。釣りの時遠くに釣り糸を投げるような手首の動作をすると、「ギャッ!」痛みが出ます。ひどい場合は腫れが出ます。ずっと我慢していると腱鞘が肥厚して固い結節が皮膚から触れるようになります。治療はばね指とほぼ一緒ですが、軽いうちは夜間等にシーネで手首を固定すると効果があります。なかなか治らない場合、やはり患者さんの希望により手術します。 |