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上腕骨外側上顆炎(テニス肘)について

(佐藤)今回は肘の痛みの原因で最も多い疾患について紹介いたします。雑巾を絞ったりすると肘の外側が痛くてなかなか治らない。肘をのばして何かをつかもうと持ち上げた際、肘の外側に痛みが走る。これが代表的な主訴で、これだけでだいたい診断がつきます。いわゆるテニス肘です。正式名称は上腕骨外側上顆炎といいます。


 

外側上顆とは上腕骨の外側が盛り上がっている部分で、ここに指や手首を伸ばす腱がついています。手をぐーっと握って手首を伸ばしてみてください。肘と手首の筋肉が盛り上がるのが分かります。この筋肉を使いすぎると前述の部分に炎症がおきるといわれています。

テニス肘といわれるのはもちろんテニス選手がなりやすいからですが、実際にクリニックにくるのはテニスをしていない一般の方々です。仕事、スポーツなどで手を使いすぎる(パソコンを長時間することも原因になります)事が原因です。しかしはっきりした誘因は思い当たらないという方もかなりいます。 


患者数の多さとその病態の多様さから専門家の間では興味を持って研究されている疾患ですが、病名が適切ではないという指摘もあります。というのもこの病名だとあたかも骨の炎症のような誤解を与え腱の炎症だと分かりにくいという事、そして腱の炎症というより腱成分自体が長年かけて劣化し変性している場合もあるという事からです。ともかく上腕骨外側上顆炎=腱の障害と考えて頂ければと思います。


ちょっと専門的すぎて分かりにくい話でしたか?ともあれ予後は良好で、多くの場合経過観察だけで治癒が望めます。といってもすぐに治りません。何ヶ月かかけて自然に治っていく感じです。

治療をしてはぜひ試していただきたいのがストレッチです。肘をまっすぐ伸ばした状態で手首を曲げて1020秒、まめにやってください。

 

湿布、塗り薬はあくまで補助的なものです。局部へのステロイド注射は短期の除痛なら期待できますが、効果は持続しません。前述のように腱が劣化変性しているような場合は治りにくいといわれています。当院は難治症例を対象として、局所ヒアルロン酸注射の治験に参加しています(H261月執筆時点)。


また肘関節の内部にも病変が存在することもあり、どうしても治らない場合は関節鏡をはじめとする手術治療が行われています。3ヵ月以上良くならずお困りの方は一度診察にてご相談ください。




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