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腱板断裂(けんばんだんれつ)は、肩関節の周囲にある腱板(けんばん、英: rotator cuff)と呼ばれる四つの筋肉の腱が損傷し、断裂する状態を指します。肩関節は非常に可動域が広く、日常生活やスポーツなどで多くの活動に使用されるため、腱板は肩の安定性と機能に重要な役割を果たしています。 |
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原因として肩腱板断裂は転倒して手をついたり、肩を強打したときに多く発生しますが、50才から60才代では自然に腱板が切れて肩が痛み出す場合があります。 |
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Q1.どれくらいの人がかかる病気ですか? (勝又)2010年の報告ですが、ある市町村700人に対して超音波検査を実施し、50歳台で12.8%、60歳台で25.6%、70歳台で45.8%でした。ごくありふれた疾患と言えます。 Q2. 原因は何ですか? (勝又)大きく分けて、外傷性のものと非外傷性のものがあります。外傷性のものは、手をついたりしたきっかけが明らかなで、そこから症状が出ている症例です。非外傷性のものとして、一番にあげられるのは加齢性の変化です。長年使ってきて、腱板が摩耗したような状態になります。生活習慣などの内因的な関連もあり、糖尿病、高脂血症、喫煙、関節リウマチなどを合併している患者が多いとされています。
Q3. どんな症状が出ますか? (勝又)痛みや可動域制限が主な症状です。特に痛みは、安静時痛がある人もいますが、多くが可動時痛である一定の動きの時が痛いとおっしゃる患者さんが多いです。また、筋力低下(医学的には偽性麻痺と言います)も見られ、腱板筋力の出力低下により、腕が上がらなくなる患者さんもいます。 Q4. どうやって診断するのですか? (勝又)最も大事なのは、身体所見です。可動域の診察をするときに、患者さんの表情、痛み方を診ます。腱板筋力の測定で、しっかり腱板筋力が出力されているかを確認します。ここで、大体の当たりをつけてから、X線検査、MRI検査、時に超音波検査を行います。ただ、X線検査で腱板断裂がはっきりわかるのは、骨頭が上方偏位してからでないと分かりませんし、MRIもはっきり切れていればわかりますが、筋内腱断裂のような微細な断裂は明確にできません。最近流行っている超音波検査に関しても、すべての腱板を追えるわけではないので、検査実施者の技術まかせである部分があり、患者さんに断定して診断名を言えるかというとそこまでの効力はないと個人的には思います。(超音波信者の医師には怒られそうですが) Q5. どのように経過していくのでしょうか? (勝又)非外傷性腱板断裂で手術になるのは、理学療法士の腕がよい病院なら10%程度です。一般的に30%と言っている施設もあるようですが…。なので、切れていてもきちんとしたリハビリをすれば、ほとんどの人が治ってしまうのです。ただ、外傷性腱板断裂は見つけ次第手術が必要です。なぜかというと、切れているところにアポトーシスが生じ、筋肉が脂肪に置き換わっていくようになるからです。どんどん使えない筋肉になってしまうので、手術が必要になります。 Q6. 温めた方がいいのか、冷やした方がいいのか? (勝又)どっちでもいいです。患者さんが気持ちいいと思う方で良いです。患者さんを診ていると、周囲の筋緊張が強くなる人がいるので、温めた方が気持ちいいと言っている方が多い印象はあります。 Q7. 治療はどのようなものがありますか? (勝又)保存治療と手術治療があります。保存治療は、水溶性ステロイドが入った注射、鎮痛薬の内服、リハビリテーションがあります。 Q8. 手術する場合はどのようなものがありますか? (勝又)腱板が縫えるかどうかが焦点になってきます。広範囲断裂でも筋肉の質が良い場合は、関節鏡視下腱板修復術を行います。前述した前進術が行われるようになり、手術の範囲が広がってきました。あとは、修復困難な腱板断裂ですが、様々な方法があります。デブリードマンで終わらせることもありますし、リバース型人工肩関節置換術を実施することもあります。リバース型人工肩関節置換術は適応年齢があり、65歳以上でないと実施できません。その場合、上方関節包再建術(大腿筋膜から筋膜をとり、グラフトを作成し、埋め込む手術)などが行われています。 Q9. 手術後再発する可能性はありますか? (勝又)術後再断裂は、3か月以内ではリスクがあります。術後調子がいいからと言って、重いものをもったりされると、再断裂を起こすことがあります。私も、広範囲断裂の患者さんで、アンカー8本使ってようやく治せた症例に転倒され、再断裂されたことがあります。再度手術を行いましたが、前進術(腱板を肩甲骨からはがす手技)を追加しなければならず、まだ慣れていなかったこともあり、かなり時間がかかりました。患者さんの意識づけが大事になります。 |
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