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頚椎症性神経根症




   




頚椎症性神経根症は、頸椎の神経根が圧迫されたり刺激されたりすることでみられる疾患です。圧迫や刺激により、神経根の炎症が起こり、痛みやしびれが起こり、しばしば腕や手に広がることがあります。特徴は、圧迫されている神経根の場所によって異なります。例えば、C6神経根が影響を受けると、親指側の腕や手に痛みやしびれが現れます。主な原因は、頚椎の変性疾患(ヘルニアや椎間板変性)、頚椎の骨棘の異常成長、外傷、炎症性疾患などがあります。








Q1. 原因は何ですか?外傷や生活習慣が関与することはありますか?


(高橋)加齢に伴い頚椎の椎間板やルシュカ関節・椎間関節といった部分に変性が起こり、椎間孔の狭窄が起こり症状が出現した状態です。頚椎にかかる頻回の運動や力学的ストレスは神経根の炎症にも関与していると考えられています。







Q2.  診断方法にはどのようなものがありますか?


(高橋)臨床症状、画像検査より診断を行います。頚部から肩甲骨周囲の痛みが初発症状で、その後片側の上肢の痛みやしびれや筋力低下が出現した場合に、頚椎症性神経根症を疑います。頚椎を伸展させ、さらに患側(症状側)に頚部を傾けると上肢に痛みやしびれが走ることが特徴的です。最終的にはMRI画像で神経根の圧迫があるか、圧迫がある場合は圧迫されている神経と症状が一致するかを確認して診断をします。

 






Q3. 治療法にはどのようなものがありますか?


(高橋)疼痛が主な症状である場合、多くの患者さんは保存治療で改善すると言われています。急性期に上肢や肩甲骨周囲の激痛があれば、頚部の安静を図ります(安静臥床、ネックカラーなど)。併せて、非ステロイド性抗炎症薬、プレガバリン・ミロガバリンなどの薬物治療を行います。また、神経根ブロックも選択肢となります。現在はエコーを用いてのブロック注射が行われるようになっていますが、現在当院では行っておりません(今後当院でも施行できるよう練習中です)。そして急性期の症状が落ち着いてきた段階で、筋力強化訓練などの運動療法を行います。これらの治療を3か月程度行っても症状の改善が乏しい場合や、進行性の麻痺を認める場合には手術治療を検討します。








Q4. 症状が軽い場合は放っておいても大丈夫ですか?治療が遅れた場合のリスクはありますか?


(高橋)頚椎症性神経根症の患者さんは多くの場合保存治療で改善するとされているため、内服治療も不要な程度の軽い症状であれば、様子を見ても良いと思います。ただし、高度な麻痺がある場合には、手術治療を検討する必要がありますので、早めに医療機関の受診、検査をお勧めします。









Q5. 予防するためにできることはありますか?運動や姿勢の注意点などがあれば教えてください。


(高橋)長時間頚椎を屈曲させた状態で机に向かったり、テレビやパソコンのモニタを観たりしないようにすること、背中を前屈して頚椎の前弯を増強するような姿勢(猫背になって頚部を上に反らすような姿勢)も良くないとされています。日常生活でこのような姿勢を取らないよう工夫をしていただくことが注意点であると考えます。







 Q6. 他の類似疾患との違いは何ですか?例えば、頸椎ヘルニアや頸部脊柱管狭窄症との違いなど


(高橋)頚椎椎間板ヘルニアは、主に椎間板により神経が圧迫された状態です。ヘルニアにより神経根が圧迫される場合には頚椎症性神経根症と同様の症状が出現しますし、治療法も同様です。ヘルニアや頚部脊柱管狭窄症により頚髄が圧迫された場合には、両手のしびれや巧緻性障害(箸が使いにくいなど)、歩行障害などが出現します。この場合は症状に応じて手術治療を検討します。







Q6. 手術が検討されるケースはどのような場合ですか?


(高橋)麻痺がある場合や、安静・薬物治療などの保存治療が無効・効果が不十分な時に適応となります。手術方法には前方除圧固定術、後方からの神経根除圧術(椎間孔拡大術)、人工椎間板置換術が挙げられます。










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