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足関節外側靭帯は、足首の外側にあり安定性を支持するための靱帯で、前距腓靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯の3つの靭帯の総称です。これらの靱帯と周囲の筋肉が協働して足首の外側の安定性を保ちます。 |
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足関節は、足首を外側に捻る動き(回内)より内側に捻る動き(回外)が可動しやすい関節です。そのため、捻挫の多くは外側の靱帯が損傷する内がえし捻挫で、ジャンプの着地や急激な方向転換などで内反が強制されると、外側に存在する前距腓靱帯などが損傷します。
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Q1. 運動前の準備体操で、怪我をしないよう足首を回したりしますが、足を捻らないよう気を付けるために出来ることはありますか? (野口)足関節の捻挫はスポーツ外傷の中で最も多い怪我と言われていて、例えばアメリカでも1日に10,000人以上が受傷していると言われています。捻挫をしたくなかったらスポーツをしないことです(笑)。それは冗談として、捻挫を防止するのに腓骨筋と後脛骨筋の働きが重要になります。これらの筋群の感度を上げる方法としてダイナミックストレッチが効果的です。 ※ダイナミックストレッチとは…体を動かして筋肉を刺激しながら関節の可動域を広げて柔軟性を高めるストレッチです。心拍数や体温を上げることができるので、運動前に行うと効果的です。 Q2. 足首を捻って痛めたとき、まず気を付けることや、簡単にできる処置があれば教えてください。 (野口)関節の捻挫ではまず動かないように固定するのがいいですが、その場で副木やテーピングができる環境があるとは限りません。腫れると痛みが悪化するので必ずやって欲しいことはアイシングです。なるべく氷のようなもので冷やすこと、湿布は腫れを引かせる効果はないので、何もしないのと同じくらい意味がありません。温めてはいけません。
Q3. 時々足首を捻ってしまいますが、放置することが多いです。どのような場合、整形外科に受診するべきでしょうか? (野口)捻挫は自然に治り得るので必ずしも受診する必要はありませんが、靭帯の損傷程度の評価はしておいたほうが後々のためにいいと思います。ただし歩けない場合は重症断裂や骨折などの可能性もあるので受診を強く勧めます。 Q4.「外側靱帯損傷」と診断を受けた場合、どのような治療方法がありますか?(テーピングやサポーターの必要性、リハビリ等が気になります。治療期間の目安も知りたいです。) (野口) 保存治療と手術治療があります。断裂した靭帯は、3週くらいでつながり始め、6週間くらいで強度が上がってきます。そのためスポーツ復帰は6週以降を勧めています。 保存治療は靭帯がつながり始める3週まではギプスシーネやサポーターで保護して徐々に運動へ向かうようにします。手術治療は靭帯を縫合しますので術後1週くらいからリハビリで動かしていきます。どちらにせよ6週まではあまり無理をしたくないので、どちらのほうが復帰が早いとも言えません。最近の傾向では新鮮例は保存的に治療し、捻挫を繰り返す慢性例には手術を考えるようになっています。 Q5. 足首を捻挫すると癖になると聞きますが、本当でしょうか? (野口)先に述べたように捻挫は自然に治りますが、治るのに6週間程度かかります。捻挫の程度がひどくてもほとんどの場合1週間もすれば痛くなくなり歩けるようになってしまいます。すると靭帯は治っていないのにスポーツに復帰し、また捻挫をすると靭帯の自然修復が正常に行われなくなりゆるい靱帯になってしまうわけです。1ヶ月以内に複数回捻挫を繰り返す場合は要注意です。 また、機能的不安定性といって足関節を支える筋群の機能不全によって捻挫をしやすくなる場合もあります。この場合はリハビリで対応可能です。
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